EXPERT TECHNIC

Draw4テスター 加藤 俊寿

シーズン、状況などによるしゃくり方について

季節ごとで釣れるサイズに違いがあるアオリイカ。

夏から秋にかけて釣れる秋アオリと呼ばれるサイズは、好奇心旺盛で激しいエギの動きに反応をしますが、春から初夏に掛けて釣れる産卵を意識した大型のアオリイカは、警戒心が強く激しい動きを嫌う傾向があります。

捕食のために回遊している個体と、産卵のためにシャローエリアに差して来る個体を狙う場合にもエギの動かし方には違いがあり、状況に応じたシャクリが必要です。

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・秋から冬にかけてのエギング。
初夏に生まれたアオリイカは、秋になる頃にはエギに反応するサイズまで成長し、港内や磯際で盛んにベイトを追うようになります。
秋アオリは好奇心旺盛で、激しい動きに興味を持つ個体が多いので、テンポよいクイックなシャクリでアオリイカを集めたら、すぐにキャッチする事はせず、どんな動きを与えた時にアオリイカの活性は上がるのか?どのタイミングでエギに近づいてくるのか?など、サイトフィッシングの利点を生かした、エギングを楽しんで下さい。

小さなエギはダートの幅が小さく、トリッキーな動きは苦手なので、連続したラインスラックの少ないシャクリを続けてしまうと、ただ引きのような直線的な動きになってしまいます。ラインスラックを利用したシャクリで、ダート終了時に間を取る事を心掛ければ、連続したシャクリであっても、移動距離を抑えたダートが可能です。

秋から初冬にかけては潮ごとに海水温が下がり、港内やシャローエリアにいたアオリイカも、海水温の低下に合わせ徐々に深場に移動を始めます。
この頃にはナイトエギングが中心となり、キロを超えるサイズの釣果を耳にすることが増えて来ます。ナイトエギングでは、3.5号を中心にカラーローテーションを行い、回遊をしている活性の高い個体を狙います。

初冬にかけて釣れるアオリイカは、捕食目的で接岸をすることが多いので、先ずは海中にあるエギをアオリイカに見つけて貰う必要があります。春の大型を狙う時のようなスローな釣りが必要となる状況もありますが、活性の高い個体をターゲットにすることから、アオリイカが回遊しているレンジを外さないシャクリが必要となります。

私が、秋から冬のシーズンに行うシャクリは、ロッドティップの動きを抑えたクイックなダート(平行移動)からの、スピードに変化を付けたジャンプ&フォール(上下移動)を組み合わせた「コンビネーション変速ジャーク」です。
中層を意識した釣りでは、ただ引きの状態から、ラインテンションを抜いた「フリーフォール」に反応する個体も多いので、「早いただ引き」と「遅いただ引き」を状況に応じて使い分けることも効果的です。

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・春から初夏にかけてのエギング。
産卵を意識して「シャローエリア」に差してくるアオリイカは、警戒心が強く、激しい動きを嫌う傾向があります。クイックな動きに反応をしない場合には、ラインスラックを利用したスローなシャクリや「ボトムステイ」をするなど、移動距離を抑えた誘いが有効です。

春の大型シーズンは、エサを捕るための捕食行動を取っている個体と、産卵目的でシャローエリアに差して来ている個体を狙うエギングが中心となります。
捕食目的の個体を狙うエギングは「攻めの釣り」。シャローエリアのエギングは、警戒心の強い大型を対象とした「神経戦」。

「静と動」の対照的な釣りを攻略するために必要な事は、釣れるタイミング(潮周り)と、釣れるレンジ(回遊層)を知る事。この条件をクリアするためにはある程度の経験値が必要となりますが、潮の動きを知ることで大型と出会うチャンスは増えて来ます。

私が春アオリを狙う際に行うシャクリは、ボトム付近を狙う、スローなシャクリからのボトムステイ。根掛かりの少ないポイントでは、1分以上の時間をボトムステイに費やす事もあります。「静の釣り」ではボトムを意識した釣りが中心となりますが、「動の釣り」では、連続シャークから多段シャクリを組み合わせた、広いレンジを探る「コンビネーションジャーク」で活性の高い個体を狙います。

アオリイカを釣るために必要なフォールでは、「カーブ」「テンション」「フリー」を、その時の状況に応じて使い分けています。ルアー釣りを得意としているアングラーが最も苦手としているのが、フォール中の動きのない「静の時間」・・・

エギングとルアー釣りをスポーツに例えるなら、エギングは、相手との間を上手く利用する事で結果に繋げることが出来る「野球」。ルアー釣りは、流れの中で結果を出していく「サッカー」。フォールやステイなど、間を取ることが出来なければ、アオリイカがエギを抱くタイミングが無く、それまでのシャクリは無駄な動作となってしまいます。

疑似餌を使う釣りにも関わらず、ボトムステイなど、止まった時間に対象魚を掛けるエギング。シャクリのスタイルはエギンガーの数だけあり、こだわりを持って、スタイルを貫いているエギンガーもいます。状況に合わせたシャクリも必要ですが、自分だけのオリジナル性を持ったシャクリを見つけることも、エギングの楽しみの一つだと思います。

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2020.01.15 10:10
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